ITサービス業界が抱える課題はARで解決|CareARが最適な理由

この3年間、コロナ禍を機にテレワークやオンライン通話アプリの普及が急激に進み、これまでになくオンラインでのやり取りが盛んになりました。いたるところで見られたデジタル化は、企業のクラウド化やDX化に限らず、eコマースや定額制サブスクリプションの利用といった個人の消費行動にも見られました。世界的に起きた急激なITの導入・活用たるや「10年分のデジタル化が進んだ」と言われるほどです。 

ITの市場規模は拡大していく一方、日本のIT業界には年々深刻化する課題が存在しています。

この記事ではITサービス業界にフォーカスを当て、ITサービス業界が今と今後に対処しなければいけない課題と、課題への具体的なアプローチについて紹介します。BtoBまたはBtoCでITサービスを提供している企業は、ぜひ今後の施策を検討する参考になさってください。 

ITサービス業界が直面している課題 

ITサービス業界が直面している課題と言えば大なり小なりたくさんありますが、今回は根源的な2つの課題に注目します。 

人材不足 

1つ目の課題は、今や直面していない企業や業界はないというほどに深刻な人材不足です。中でもIT人材はとくに不足しています。現場の肌感覚として「人材が不足している」と感じている企業も少なくないことでしょう。 

経済産業省の発表によれば、IT人材は2030年で最大80万人の不足が出るとされています。 

少子高齢化による労働人口の減少と、IT業界の急激な拡大による人材の不足が重なり、IT人材の不足に歯止めがきかない状況です。 

加えて、日本のIT業界はレガシーシステムからの脱却がうまくいっていないという現状があります。

2017年に作成された経済産業省による「DXレポート〜ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開〜」を見ると、約8割の企業がレガシーシステムを所持しています。 

レガシーシステムの所持と人材不足はどのように関連しているのでしょうか。 

一般的にレガシーシステムは複雑化、老朽化、ブラックボックス化していることが多く、既存システムの保守・運用に貴重な人材が取られてしまいます

老朽化による保守費用予算の増大や、エンジニアの離職・退職による技術継承の寸断、基幹システムのサポート終了、最新技術への未対応といった問題が乱立し、企業のDX化をとどめてしまうだけでなく、数少ない人材の浪費へと繋がってしまうのです。 

新規IT人材を積極的に採用していったり、既存IT人材に選んでもらえる企業作りをしていったりといったアクションはもちろん必要です。しかし、レガシーシステムとうまく付き合いながらも速やかにそこから脱却していく動きも急務です。 

エンジニアの長時間労働 

2つ目の課題は、エンジニアの長時間労働です。いわゆる労働環境のブラック化です。この課題の背景には、日本のIT業界によくある「多重下請け構造」があります。 

多重下請け構造とは :クライアントから元請け企業に委託された業務が、2次請け企業、3次請け企業…とピラミッドのように再委託されていく構造です。 

引用元:https://asiro.co.jp/media-career/11869/ 

多重下請け構造は、各社のエンジニアたちを苦しめる構造です。上の画像の通り、下請け企業への再委託が増えるほど受け取れる利益は少なくなり、結果としてエンジニアたちは好条件とは言えない条件下で働くことを余儀なくされます。 

下流の企業になればなるほど扱える予算も少なくなるため、プロジェクトに問題が発生したとしてもリソースの補填を行うことができず、限られたリソースをギリギリの状態で活用していくことになります。下請け企業で働くエンジニアたちは、限られた人的リソース、限られたコスト、上流の企業に比べて余裕のない納期で働かざるを得なくなり、長時間労働を含めた労働環境の悪化が引き起こされてしまいます。

慢性的な人材不足は常に存在している問題のため、エンジニアたちの長時間労働化には歯止めがききません。まさに負のスパイラルにはまってしまうのです。 

上記のリスクに加えて、多重下請け構造は「品質責任の所在の曖昧化」、「業務負荷の増大」、「市場競争力の低下」という問題の根源にもなり得ます。残念ながら、世界的に見た日本の市場競争力はすでにかなり落ちてきています

引用元:https://mailmate.jp/ja/blog/japans-digital-competitiveness-score

スイスの国際経営開発研究所(IMD)毎年発表している「IMD World Digital Competitiveness Ranking(IMD世界デジタル競争力ランキング)」の2022年版では、日本は29位に位置しています。

韓国(8位)や台湾(11位)、中国(17位)といった近隣諸国と比較すると、日本が大きくランキングを落としていることは明白です。近年では中国やインドといった圧倒的なマンパワーを持つ国々が躍進してきているので、このままでは日本はますます市場競争力を落としてしまうでしょう。 

DXに関しても世界から遅れをとっているため、「2025年の崖」へ転落して大きな損失を被ることになります。 

「2025年の崖」とは :経済産業省の「DXレポート」にて使用された言葉で、日本のDX化が推進できなかった場合、2025年以降の5年間で最大12兆円の経済的損失を被るという内容の警鐘です。 

取り返しがつかなくなるような大きなリスクをはらんでいる多重下請け構造ですが、エンジニアのためにも業界の今と将来のためにも、多重下請け構造から業界全体として脱却していくことが必要です。 

CareARがITサービス業界にオススメな理由 

ここまででITサービス業界が直面している課題についてご紹介してきましたが、すでに多くの企業が「人材不足が深刻化している」、「レガシーシステムから脱却したい/もっと効率よく運用したい」、「多重下請け構造をやめたい」と思っているはずです。

いずれもなるべく速く、かつ効率よくアプローチしたい課題です。ここからは、たった一つで全ての課題へアプローチできるソリューション「CareAR」についてご紹介いたします。本当にCareARがITサービス業界の抱える深刻な課題に効果があるのかをご判断ください。

まず、CareARの4つの機能ついて簡単にご説明します。

機能1 CareAR Assist

CareAR Assistは、AR技術によってビジュアルサポートをリアルタイムで遠隔提供できる機能です。複雑になりがちな配線周りの接続方法や、問題箇所をARによってグラフィカルに“見える化”します。

難しそうに思えるARの利用は非常に簡単です。現場にいるスタッフや顧客と連携しながら、スマートフォン、タブレット、スマートグラス、ドローンのカメラを使って、設備や配線を写してもらうだけです。

どの端末と連携させるか次第で、高所のネットワーク整備や、狭い場所での配線作業負担を減らすことができます。アプリにもブラウザにも対応している上、機能への参加者も無制限なので、どこからでも何人でもワンチームとなってサポートを展開していけます。

機能2 CareAR Instruct

CareAR Instructは、マニュアルをAR/2D/3D/ビデオのかたちで画面上に映し出す機能です。

ARガイダンスをステップごとに事前作成し、使用時にはARで表示されるので、スキルや経験の少ないエンジニア、ひいてはお客さま一人でも理解しやすいのが特徴です。必要な操作を的確に行っていくことができ、現場での自己解決率向上にも直結します。

現場スタッフや顧客が正確に作業を行えているかどうかはAIが検知するので、必要なステップを抜かすといったヒューマンエラーを防げます。検索機能により、関連性の高いコンテンツを呼び出すことも可能です。

機能3 CareAR Insight

※CareAR Insightは将来の実装予定機能です。

CareAR Insightは、製品詳細、サービス履歴、保証内容など対象の製品に関する豊富なコンテキストデータを表示する機能です。

製品と接続された瞬間から、InstructとAssistの機能へ情報を提供します。部品交換が必要となる時期についても予測してくれるので、問題が発生する前の段階で問題発見・解決できます。

搭載されているAIが、機器の故障や修理といった過去の履歴と現在の情報を組み合わせ、リスクが潜むパーツや場所を視覚的に教えてくれます

必要な情報はすべてリアルタイムで“見える化”されるので、現場技術者が問題を診断、調査、解決するのに役立ちます。また、エンジニアのナレッジギャップを埋め、スキルアップすることにも繋がります。

機能4  CareAR Experience Builder

ARやAIといった最新技術を詰め込んだCareARですが、導入はとても簡単です。

インストラクション表示などのワークフローを、Webベースかつノーコードで構築することができます

CareAR導入に際にして、「IT人材が多く必要」といった状況にはなりません。ドラッグアンドドロップができれば、誰でもワークフローを作れるので、専門知識を持ったエンジニアをわざわざ選任する必要はないのです。

CareAR導入がITサービス業界へもたらすメリット

CareARをITサービス業界に導入するメリットは5つあります。

1. レガシーシステムの管理と新しい機器の展開を効率的にサポートできる

記事の冒頭にてレガシーシステムがもつリスクやデメリットについて紹介しました。一般的にレガシーシステムの保守・運用は属人化しがちです。それゆえに技術継承が難航したり寸断されたりといった事態が起き、結果としてIT人材の浪費に繋がっていきます。

また、レガシーシステムは近年の最新技術へ対応していないケースが多いです。そのためレガシーシステムを使いつつ、新しい機器を展開していくことは困難です。

効率的にレガシーシステムを保守・運用しなければいけないのはもちろんですが、早い段階で以前のシステムから脱却を図っていく必要があります。

CareAR Insightの機能は、レガシーシステムが抱えている課題や、予期せぬ問題を視覚的に示して解決する助けとなります。CareARによる視覚的なサポートは、既存システムの効率的な保守・運用に役立つだけでなく、保守・運用のために必要なノウハウを継承する点でも効果的です。

レガシーシステムの保守・運用に関する属人化が避けられると、IT人材のリソースを他の機器や業務に振り分けることができます。新しい機器の選定や導入、トレーニングなどに集中しやすくなり、既存システムからのスムーズな切り替えが実現できます。

2. 顧客と従業員の自己解決率向上

ITサービス業界が行う業務の中には、BtoBまたはBtoC向けサポート業務や保守業務があります。いずれの場合も、顧客や従業員の自己解決率が高い水準で保たれることは重要です。自己解決率が高ければ、ITサポートへの問い合わせ母数を減らし、業務の効率化を図ることができるからです。

CareARによるビジュアルインストラクションがあれば、目の前にある製品をカメラに写すだけで、自分がどこをどのように触れば良いのかが一目でわかります。紙のマニュアルや電子マニュアルのように、モデル機でサポートするのではなく、今まさに顧客や従業員の目の前にある物でサポートできるのです。仮に目の前の機器が、前後左右または裏表が逆だとしても、AR機能が自動的に機器の状況を読み取り、対応します。

たとえば、「製品の右下にあるレバーを時計回りに回す」とテキストで説明するのではなく、CareARなら、カメラをかざしただけで該当する部品をAR機能でポイントし、レバーをどちらに回せば良いのかを矢印で案内します。テキストで説明すると複雑な操作も、CareARで視覚情報として分かりやすく見せられます。

CareARは必要な手順を一から指示していくので、「どの手順からスタートしたらよいかわからない」「必要な操作がわからない」といった事態が起きません。正しい手順で操作できているかをAIが自動でチェックしてくれるため、必要な操作ステップを抜かしてしまう心配もなく安心です。

いわば手元にはパーソナライズされたオーダーメイドのマニュアルがあり、隣にはマンツーマンのサポーターがいるような状態です。

紙やPDFのマニュアル、FAQといった自己解決サービスに比べ、圧倒的に自己解決率を押し上げられます

近年の技術の進歩や、IoTの普及により、機器そのものもサービス内容も複雑化を極める一方、サービスに対する顧客の期待値はますます上がっています。高くなる期待値へ効率よく答えていくために、今以上に自己解決率を上げられる施策が重要となってきます。

また、クライアント企業が自己解決できる確率が上がれば、多重下請け構造からの脱却が見込めます。結果、既存エンジニアたちの労働環境を整えることができます。労働環境の悪化に起因するエンジニアたちの離職率を下げることが可能になるのです。

3. サービスコストの削減

CareARを活用すると、正確で視覚的な指示をリアルタイムで出すことがきます。遠隔地からでもハイクオリティな指示が出せるので、出張や派遣を含む現地作業の回数を減らせたり、そもそも現地へ赴かなくて良くなったりする可能性が生まれます。

TSIAの調べによれば、出張サービスや現場派遣の25%が不必要だったという結果が出ています。

現地作業をしなくても良くなれば、派遣や出張にかかる費用(交通費、宿泊費など)のカットが可能となり、サービスに関わるコスト全体の削減を期待できます。

CareAR導入の効果として、リモートでの解決率が85%増加したという結果があります。つまり、CareARの活用で「派遣や出張の回数を削減する」という目標は実現可能なのです。

とはいえ、派遣や出張を完全になくすことは現実的ではないかもしれません。今後もあるであろう派遣や出張時に「どれだけ効率よく正確に作業を行えるか」「コストを削減できるか」「時間や人材を有効に使えるか」が重要であることに変わりはありません。

現場派遣には、技術者にかかるコストが実質2倍になるリスクがあります。5人に4人の現場技術者が、派遣先で困ったときに同僚へ電話をしているからです(Service Council )。

CareARで事前に正確な現状を把握し、どのような作業・サポートが必要になりそうかが分かっていれば、「本当にエンジニアの現場派遣が必要か」「どの程度緊急なのか」「何人派遣するべきか」「どのようなスキルが必要になるか」といった判断と準備を的確に行えます。その上で最適なサポートメンバーを派遣できるので、金銭的・時間的・人的コストを最大限有効に活用でき、浪費してしまう心配はありません。

派遣先での自己解決率についてはCareARで強化できているので、「エンジニアにかかるコストが実質2倍」のリスクを事前に避けることも容易です。加えて、CareARは問題解決にかかる時間を63%短縮するとの結果が出ています。ですから、サポートのタイムパフォーマンスも向上します。

4. 外部のITチームとの連携が可能

CareARによって機器の状態を視覚情報として把握できることは、遠隔で外部のITチームと連携する際に強みとなります。

たとえば、データセンターの運用やサポートの場面では大きなメリットとなります。セキュリティ上の制約で外部のITチームを社内に入れられない企業もあるからです。CareARがあれば、そのような企業へサービスを提供する場合でも、まるで現地にいるかのようにしてサポート可能です。

サポートが必要な機器や配線周りを現地のスタッフに映してもらえば、エンジニアは印をつけたり矢印を引っ張ったりしながら、リアルタイムで的確な指示を出していけます。

類似する場面として、物理的に即時のサポートが難しい場合もあるでしょう。現場が遠方だったり、事故や災害が起きている、または起きるリスクの高い場所であったりする場合です。

CareARを活用すれば、そのようなときでもすぐに遠隔でサービスを提供ができます。これは顧客満足度の向上や、従業員の安全確保の面でメリットとなります。さらに、市場を大きく広げる可能性も生み出します。海外市場進出の可能性も高まるのです。

引用元:https://www.offshore-kaihatsu.com/faq/generalization/

現在、日本での人件費の高さや人材不足を原因に、人件費が比較的安価な国へ開発を委託する(=オフショア開発)企業が増えています。実際、オフショア開発.comによるデータを見ると、他の産業に比べてIT産業が最もオフショア開発に関する需要が高いことがわかります。

オフショア開発が活発になればなるほど、結果として海外人材は増加し、海外のITチームとの連携が必要になるでしょう。海外チームと連携する度に出張するわけにはいきません。しかし、CareARによってハイクオリティで視覚的な遠隔サポートができれば、海外を含む外部のITチームとの連携や、サービス提供のハードルが格段に下がり、より効率的に作業を行えます。

5. 新人技術者のトレーニングが可能

人材不足のITサービス業界において、体制が整備された研修やトレーニングは非常に重要です。次世代の人材を育てるという観点からはもちろんですが、人材確保の面でも重要な役割をもつからです。

「楽天みん就」が発表した「2024年卒 IT業界新卒就職人気企業ランキング」について見てみると、上位に入っている企業は「社風・居心地が良さそうな企業ランキング」や「教育研修が充実していそうな企業ランキング」でも上位を取っている企業でした。

つまり、就活生が就職希望先を選ぶときには、各企業の教育研修が充実しているかどうかも見ているということです。逆に言えば、教育研修・トレーニングが充実していれば、新規人材の目にもとまりやすくなり、就職先として選んでもらいやすくなります。

CareARは、新人技術者の研修やトレーニングの面でも役立ちます。CareAR Instruct を使うと、ベテランエンジニアからナレッジ伝達・共有や技術継承が容易になります。ベテランエンジニアが実践を軸にしてリモートで新人技術者を訓練し、作業中になされた注釈やコメントをドキュメント化・保存、後日復習・使用することができるのです。ベテランエンジニアからのノウハウを形として残すことが可能になります。

保存された資料は、新人技術者が後から見返す際に役立つだけでなく、後続の人材の研修・トレーニング用として残していく点でも有効です。

「新人技術者をいきなり実践に使うのは、かえって別のトラブルを引き起こすのでは…」と心配になるでしょうか。現場にいるスタッフが指示通りに作業を行えているかどうかは、CareARに搭載されている最新のAIが判断をするので、必要なステップを抜かすなどのヒューマンエラーを防ぐことができます。AIとリモートで見守るベテランエンジニアとのダブルチェックが実現します

エンジニアの数が少なかったり、エンジニア自身に余力がなかったりすれば、当然ながら新人技術者に技術やノウハウを教えることは難しくなります。だからといって有用な即戦力ばかりを求めてしまうならば、門戸を自社で狭めることとなり、人材不足の深刻化に輪をかけることになりかねません。

新人の教育研修・トレーニングを効率的に行える体制を整え、これからの就活生に魅力や安心感をもってもらえるようにしましょう。CareARは、人材確保の側面でも企業を力強くお手伝いします。

ITサービス業界へのCareAR導入事例

CareARは、Service IT Direct社が提供するサポートサービスのCXを劇的に改善させました。85%のコスト削減を実現したのです。

詳しくはService IT Direct社の事例からご覧ください。

最後に 

ITサービス業界は、急激な市場拡大や多様になるサーピスの内容への対応、サービスに対する顧客の期待値の上昇、サービスコストの削減や人材確保といったさまざまな課題への対処が求められています。いずれの問題も深刻であり、アプローチが難しく、それでいて速やかな対応が必要です。

CareARであれば、複数の問題に一括アプローチしつつ、企業が直面する多くの課題へ対応するお手伝いができます。CareARについて気になった方は、ぜひお気軽に弊社までお問い合わせください。

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