2023年、積極的にSDGsへ取り組んでいる企業は少なくありません。一方、SDGsへの取り組みが長ければ長いほど「SDGsへ取り組んでいることをもっと対外的にアピールしていきたい」「SDGsをに取り組みつつ、最新技術を導入していきたい」「SDGsに取り組んでいる効果がわかりにくい/物足りない/さらに+αが欲しい」といった悩みが出てきます。
この記事では、近年急激に日常生活へ普及し始めている最新技術の一つとしてARを取り上げます。ARでSDGsへの取り組みを強化している例や、AR導入のメリット、最新のARプラットフォーム「CareAR」について紹介していきます。ARツールの導入を検討する際の参考にしてください。
ARでSDGsは実現出来る
AR技術を導入したことで、SDGsへの取り組みを強化できている企業はいくつもあります。先例として、AR技術を導入したいくつかの企業について紹介します。いずれもSDGsに大きく貢献できるだけでなく、顧客体験の拡張も実現しています。
花王株式会社
「ライブへカラー」と呼ばれる、AR技術を活用したバーチャルヘアカラーのサービスを導入。店頭やパッケージにある二次元コードを読み取るだけで、すぐに自分の髪でヘアカラーシュミレーションができるといったサービスです。これにより、店頭での「毛束見本」が不要になり、プラスチック使用量を大幅に削減できました。
「毛束見本」の提供により、多い年だと年間約56トンものプラスチックを出していましたが、AR活用によりSDGsに大きく貢献することができました。また、SDGsへの貢献だけでなく、利用者が自らの髪でカラーを試す体験のおかげで、自分の好きな色味をより選びやすくなる効果も見込めます。
LUSH
LUSHはバスアイテムとしてのバスボムを中心に販売しているショップです。ARを導入したことで、店舗に置かれる商品には一切の説明が付かなくなり、代わりに目の前のバスボムがお風呂でどのように溶けるのかを動画で確認できるようになりました(AR導入は一部店舗)。
これまでは店頭でのデモンストレーションも実施されていましたが、ARの導入によりデモンストレーションを廃止し、販売コストの削減にも成功しています。この取り組みは顧客の感想やレビューから編み出された答えだったため、公式SNSハッシュタグ「#LushLabs」の発表も行われ、ファン同士のコミュニケーションの場を作り出す結果にも繋がっています。
彼方此方屋(おちこちや)
着物販売店である彼方此方屋は、ARでのギフトサービスを導入しています。「ふみおりARギフト」と呼ばれるサービスでは、メッセージの書かれた布を裂き布にし、手織りでブックカバーやバッグなどの小物に変えるといったサービスが行われています。織られればメッセージは読めなくなりますが、ARアプリをギフトにかざすことで、ギフトを贈られた相手は織られる前のメッセージを確認することができる仕様です。
着物を「ニッポンのサステナブルなエコ衣料」として捉え、「もったない」の心から生まれた裂織をベースに始まったサービス。ギフトとしての温かみや実用性はもちろん、最新技術のARを活用したからこそ、「ギフト」としての価値を一切落とすことなくSDGsにも寄与できる素晴らしいサービスではないでしょうか。
SDGsの側面から考えるAR導入のメリット
ARの導入がSDGsに直結している例をいくつかご紹介しました。3例に共通していたAR導入効果としては、プラスチックや紙、布といった資源の削減です。SDGsへの取り組みとして一番分かりやすい効果と言えます。
同時に、顧客体験の拡張を実現しています。顧客満足度を向上させつつ、SDGsに積極的かつ大々的に取り組んでいる企業という印象を与えることができています。
対外的に“わかりやすい”SDGsへの取り組みがあった方が、ブランディングとしては効果的です。
SDGsへ積極的に取り組んでいることが対外的にはっきりしていると、人材採用において企業のSDGsへの取り組みに理解のある社員を採用できたり、就職希望者の母数を増やすことができたりとプラスに働きます。
SDGsによる企業イメージのアップは、決して理想論ではありません。2022年に実施された帝国データバンクの調べによれば、SDGsに積極的な企業割合は5割を超え、2021年から約12.5ポイントも増加する結果が出ています。
SDGsに取り組んでいる会社はもはや珍しくはないということです。SDGsへの取り組みによる効果としてトップに挙げられたのが「企業イメージの向上」でした。4位と6位には「採用活動におけるプラスの効果」、「競合他社との差別化」が挙がっています。“わかりやすさ”がいかに重要であり、実際的な効果を期待できるのかを如実に表している調査結果です。
CareARでSDGsにもっと貢献
ここからは、具体的なARツールをご紹介していきます。本記事で紹介するのはARプラットフォーム「CareAR」です。
CareARは、コンピュータービジョンで現場作業やフィールドサービスのあり方を根底から変えるデジタルツイン型サービスプラットフォームです。現場作業を行うエンジニアやスタッフが、遠隔地にいる熟練技術者や専門家からアドバイスや指示を受けることができます。
CareARを活用すると、SDGsの17の目標のうち3つに取り組めます。
- SDGs9 産業と技術革新の基板を作ろう
- SDGs12 つくる責任 つかう責任
- SDGs13 気候変動に具体的な対策を
CareARが3つの目標にどう貢献するのでしょうか。
燃料消費量とCO2排出量を削減
CareARの遠隔支援により、現場やお客さまのもとへ出張スタッフが直接出向く回数を劇的に減らせます。訪問回数の削減により、トラックの運行を最低でも1日1回は減らせるので、年間約4.500㎏のCO2排出量を削減できます。
廃棄物の削減
ARによって毎回正確かつ効率的に作業を行えるため、初回修理率の向上、最適な部品の用意が可能です。結果として、大小を問わず廃棄物の削減に繋がります。
【CareARの実績】
2021年7月から2022年10月の約1年間で…
- 412,000kgのGHG排出量を回避
- 21,000の配送を削減
- リモートでの解決率が9%増加
Xeroxが2022年の1年間でCareARによるROIを計測したところ、1万人のフィールドエンジニアがCareARを使用して、約4億円のコストダウンが実現出来ました。
【導入事例】
イギリスのハリファックスにあるXeroxのデータセンターにCareARを導入しました。
課題:データセンターでトラブルが発生した際には、拠点であるロンドンから車で片道3時間ほど走行して出張スタッフが駆けつけなくてはいけませんした。一度ダウンタイムが発生すると、サービス品質の著しい低下、収益面でのマイナス、時間とコストの消費がついてまわります。
CareAR導入後:遠隔でありながら視覚的にコミュニケーション・サポートができるため、拠点であるロンドンから迅速かつ的確に対応することが可能となりました。連鎖的に時間とコストは節約され、出張の頻度を抑えることでCO2排出量の削減にも繋がり、SDGsに取り組めています。
サステナビリティリーダー:Xerox(ゼロックス)
CareARは、製品だけがSDGsに寄り添っているわけではありません。CareARの運営会社である米国Xerox(ゼロックス)社は、SDGs完了の目標年である2030年より先の2040年までを見据えてロードマップを策定しています。
また、世界基準でもサステナビリティのトップリーダーに位置する企業です。実際、サステナビリティをテーマとした数々の賞の獲得やリストへの掲載といった実績を持っています。
【Xerox社のロードマップ】
2020年~2032年頃
エネルギー効率とプロセスの改善
2020年~2037年頃
循環経済型と低炭素設計
2025年~2040年頃
カーボンオフセットとカーボンニュートラル
▶参考情報:https://www.xerox.com/downloads/usa/en/x/Xerox_CSR_Report.pdf
【 Xerox社の受賞歴】
2023年1月
「世界で最も持続可能な100社」に3年連続で選出。
▶参考情報:https://www.corporateknights.com/rankings/global-100-rankings/2023-global-100-rankings/2023-global-100-most-sustainable-companies/
2022年12月
CDPの2022年年次Aリストに選出。
▶参考情報:https://www.cdp.net/en/companies/companies-scores
2022年6月
Quocircaによって、印刷業界のサステナビリティリーダーとして選出
▶参考情報:https://quocirca.com/content/quocirca-sustainability-leaders-2022/
この賞では、前述のロードマップが特に高く評価されました。
その他の受賞歴はこちらをご覧くださいhttps://www.xerox.com/en-us/about/history-timeline
最後に
認知度がますます高まるARと、積極的に取り組まなければならないSDGs。直接的な関わりが無いように思える2つですが、実際にはARがSDGsに非常に効果的な技術であることを解説しました。SDGsへ取り組んでいる企業が、そのメリットを最大限活かすには、対外的な“わかりやすさ”が重要です。
CareARは最新技術のARツールでありながら、製品そのものがSDGsに寄り添っています。そして、運営会社のXeroxは世界的なサステナビリティリーダーです。
「持続可能な開発ソリューション・ネットワーク(SDSN)」が年に1回発表する、各国のSDGs達成率をランキング化した「持続可能な開発レポート2022」では、日本は19位に位置しています。アジア圏ではトップランカーです。とはいえ、2021年と比較するとランキングを一つ落としてしまっています。
ぜひCareARのような最新AR技術を活用し、SDGsの世界的トップランカーを目指していきましょう。