コピー機保守の「スピード」「サービス品質」を向上させるのはCareAR

世の中ではペーパーレス化が謳われますが、完全なペーパーレスは意外と難しいものです。やはり紙には紙の良さとメリットがあります。紙文化が消失しない限りプリンタ、コピー機の需要はなくなりません。

コピー機は精密機器である以上、定期的な保守が必要です。「紙詰まりも含めて何かと不具合が多い」というのもコピー機の実情です。

この記事では、コピー機保守の分野でアプローチしたい課題を明らかにしつつ、最新のAR技術を駆使した「CareAR」がどのように役立つのかを説明します。

コピー機保守業務の課題

コピー機の保守契約にはさまざまな形態がありますが、どの契約による業務でもカギとなるのは、「スピード」と「サービスの品質」です

ご存じの通り、コピー機の保守業務を行うのはメーカーだけではありません。

メーカーに加え、販売代理店や業務委託によるメンテナンス専門業者(個人事業主も含む)も行います。そのため、同じメーカーのコピー機を使用・保守契約をしているはずなのに、メンテナンスの品質にエリア差が生じるという問題があります。

エリアによるサービス品質の差が出るという状況は、最終的にメーカーへの信頼度と顧客ロイヤルティの低下に繋がります。言うまでもなく場所によるサービス品質の差は限りなく0にするべきです。

とはいえ、大手メーカーと同じ規模感で営業所と常駐メンテナンス員を持つことは容易ではありません。その上、保守に関する価格競争は熾烈化していますし、現場への派遣修理のニーズは変わらず高止まりの状態です。細かなパーツが消耗するだけで故障に繋がるコピー機は、気温や湿度、利用頻度、紙の種類などでも故障や紙詰まりが発生します。

派遣依頼時の不具合の多くは、ユーザーが自己解決できる軽微な問題(紙詰まりや印字不良、接続不良など)です。しかし、マニュアルによるユーザー側での自己解決には限界があります。

たとえば、レーザーコピー機の不具合が発生した場合、仮にささいな不具合だとしても触れる場所によっては大やけどをする可能性があります。「不具合は軽微かもしれないけど、安全上の観点から専門知識や技術を持たない人に自己修理させるのは危険」と思われるでしょう。

ユーザー側から考えても、業務用コピー機は安価ではない上に精密機械なので、一刻も早く専門知識をもつ人に診てもらいたいと考えることでしょう。しかし、だからといって軽微な問題ひとつひとつに対してダウンタイムが長くなれば、不具合のレベルに関係なく顧客満足度の低下が生じてしまいます。

また、コピー機の保守契約の多くは、メンテナンスや修理をすればするほどコストがかさむようになっています。ですから、問題の程度に関わりなく毎回派遣依頼をすることは、お客さまにとって大きな負担となります。

顧客満足度を向上させるのに、コピー機の保守業務におけるコスト削減とスピーディな派遣・作業の実現、場所に影響されないサービスの品質維持は必須です。そのためには、ユーザーとの協力体制を築くことが非常に重要です。

ユーザーとの協力体制を築くために有効な手段の一つが、AR技術を活かしたリアルタイムでの遠隔サポート体制です。ここからは、ARでの遠隔サポートツール「CareAR」がどのようにコピー機保守業務に関する課題へアプローチできるのか解説します。

コピー機保守に最適なCareARの機能4つ

まず、CareARがどのようなソリューションなのかを紹介します。特徴的な機能は主に4つです。

機能1 CareAR Assist

CareAR Assistは、AR技術によってビジュアルサポートをリアルタイムで遠隔提供できる機能です。コピー機周りまたは内部で確認または操作するべき場所や、問題箇所をARによってグラフィカルに“見える化”します。

難しそうに思えるARの利用は非常に簡単です。現場にいるユーザーと連携しながら、スマートフォン、タブレットの(スマートグラスやドローンにも対応)カメラを使って、コピー機を写してもらうだけです。

スマートフォンで利用できるので、コピー機内部の細かなところまで写せます。アプリにもブラウザにも対応している上、機能への参加者も無制限なので、どこからでも何人でもワンチームとなってサポートを展開していけます。

機能2 CareAR Instruct

CareAR Instructは、マニュアルを2D/3D/動画のかたちで画面上に映し出す機能です。

ARガイダンスをステップごとに事前作成し、使用時にはARで表示されます。そのため、経験の浅いメンテナンス員や専門知識をもたないお客さま一人でも理解しやすいのが特徴です。必要な操作を的確に行っていくことができ、現場での自己解決率向上や応急処置的な対応を可能にします。

メンテナンス員やお客さまが正確に作業を行えているかどうかはAIが検知するので、必要なステップを抜かすといったヒューマンエラーを防げます。検索機能に関連性の高いコンテンツを呼び出すこともできるので、作業時にメンテナンス員の補助役とも有効です。

機能3 CareAR Insight

※CareAR Insightは将来の実装予定機能になります。

CareAR Insightは、製品詳細、サービス履歴、保証内容など対象の製品に関する豊富なコンテキストデータを表示する機能です。

製品と接続された瞬間から、InstructとAssistの機能へ情報を提供します。部品交換が必要となる時期についても予測してくれるので、問題が発生する前の段階で問題発見・解決できます。

搭載されているAIが、機器の故障や修理といった過去の履歴と現在の情報を組み合わせ、リスクが潜むパーツや場所を視覚的に教えてくれます

必要な情報はすべてリアルタイムで“見える化”されるので、メンテナンス員やお客さまが問題を診断、調査、解決するのに役立ちます。また、メンテナンス員のナレッジギャップを埋め、スキルアップすることにも繋がります

機能4  CareAR Experience Builder

ARやAIといった最新技術を詰め込んだCareARですが、導入はとても簡単です。インストラクション表示などのワークフローを、Webベースかつノーコードで構築することが可能です。

CareAR導入に際にして、「IT人材が必要」といった状況にはなりません。ドラッグアンドドロップができれば、誰でもワークフローを作れるので、専門知識をもつ人材を採用・選任する必要はないのです。

CareARでコピー機の保守を行うメリット

CareARの主立った4つの機能を説明しました。ここからは、CareARでコピー機の保守業務を行うメリットを5つ紹介します。

1. シフトワークレフトの実現

「シフトワークレフト」とは
欧米を中心に使われ始めている新しい用語で、「技術者が現場に行って提供する『サービス』を前倒して提供しよう」という考え方です。コピー機の保守業務に当てはめるなら、トナーやドラムといった定期交換が必要な部品の状態確認や修理を前倒して行います。

CareAR Insightによりシフトワークレフトが実現すると、コピー機の故障や緊急メンテナンスの予防が可能です。不具合発生時のダウンタイム短縮も容易になるので、コピー機保守に関係する顧客満足度の向上が見込めます。

コピー機の修理依頼は、多くの場合が「なるべく早く」を要求されることでしょう。軽微な不具合であることが多いからこそ、シフトワークレフトによる徹底的な予防が功を奏します。

シフトワークレフトの実現によるメリットは、お客さまだけにあるわけではありません。保守業務を行う側にも、緊急派遣の回数が減ったり、現場での定期メンテナンスのスケジューリングがしやすくなったりと多方面でメリットとなります。

2. コスト削減

冒頭で言及したとおり、コピー機の保守に関する価格は熾烈化しています。一見安くてコスパがよく見える保守契約は増えています。その上、手厚いサポートやメンテナンス込みだとしても、費用の高い保守契約は避けられる傾向にあるようです。

保守業務を行う企業は、保守契約料を高く設定しすぎると損益上でのリスクを被りかねません。ですから、コストを削減して保守契約の料金を適正な価格で維持することが重要です。

遠隔サポートができるCareARを活用すれば、ユーザーからの突発的な修理・メンテナンス依頼に対してリモートで対応することが可能です。AR機能によってメンテナンス員がその場にいるかのように対応できるのです。お客さまからの問い合わせや依頼がくれば、まずはCareARでリアルタイムの状況を見せてもらいます。すると、不具合が軽微なものなのかどうか、お客さまだけで操作・対応ができるかどうか、出来事の緊急度などを推し量れるようになります。言わばトリアージがとれるのです。

軽微なトラブルであれば、メンテナンス員を急行させる必要がなくなるかもしれません。そもそも現場へ行く必要がなくなるかもしれません。いずれにしても現場派遣にかかる金銭的・時間的・人的コストを大幅に削減できます

TSIAの調べには、出張サービスや現場派遣の25%が不必要だったというデータがあります。そして、CareARの利用により派遣の回数が50%削減されたという実績データがあります。つまり、CareARの活用で派遣の回数を削減し、大きなコストカットが図れることは明白です。

CareARにより業務プロセスの圧倒的な効率化が図れるので、コストを要因として保守業務をアウトソーシングしている企業は、販売と保守を自社で一手に担う未来について検討できるかもしれません

3. 迅速なサービス

コピー機の保守業務において、修理・メンテナンスの依頼が来るとスピードが重視されます。いかにスピーディに現場へ行って対応できるかは、どれだけ多く拠点を持っているかに比例していると言っても過言ではありません。当然、拠点を多くもつためにはそれだけのコストがかかります。

CareARがあれば物理的な距離は問題になりません。リモート解決の向上率85%を誇るCareARであれば、メーカーまたは販売店直々による最も早くて安心できる保守サービスを提供できます。でも、ただ早いだけのサービスでは終わりません。CareARではリアルタイムで矢印やコメントを書き込むことができるので、パーソナライズされたサービスを提供できます。

たとえば、「コピー機内部のボタンを押しながらトレーを外す」のように、複雑で伝わりづらい操作方法をテキスト、または音声のみで説明するには限界があります。CareARがあれば、カメラをかざしただけで該当する部品をAR機能でポイントし、どの部品をどの向きに何したら良いのかをすべて矢印で案内できます。精密機器を触るにあたって気をつけなければいけないポイントなども書き込めます。お客さまがレーザーコピー機でやけどをしてしまう前に、事前にどの部品が熱をもっていて危ないのかを正確にアナウンスできます

すべての操作や情報を、CareARによって視覚情報として分かりやすく伝えられるのです。

4. 若手人材への率的な教育

特定の業界に限らず問題視されている人材不足。コピー機の保守業務に際しても、限りある人材を有効に活用し、次世代を育成する必要があります。一般的によく見られる社内教育は、マニュアルや各自でのノウハウ蓄積、同僚への質問などになりがちで、会社全体としてのナレッジが蓄積・共有しにくくなっています。

若手人材の教育・トレーニングの面でもCareARは大いに効果的です。CareAR Instruct は、ベテランのメンテナンス員からナレッジ伝達・共有や技術継承が容易にします。経験のあるメンテナンス員がリモートで新人を訓練できるからです。

ただリモートでリアルタイムの状況がわかるだけでなく、業務中になされた注釈やコメントをドキュメント化・保存、後日復習・使用することができます。先達からのノウハウを形として残せるということです。蓄積されるナレッジは、後続の人材育成に役立てられます。

CareARに搭載されている最新のAIが、作業が正しい手順と方法で進んでいるかを判断するので、必要なステップを抜かすなどのヒューマンエラーを防ぐことができます。リモートでサポートをするベテランメンテナンス員とAIによるダブルチェックが実現するので、より安心安全なOJTの環境を作っていけます

近年は、企業の研修・トレーニング環境が充実しているか否かが人材確保においての重要な要素となっています。CareARの活用による実践ベースで効率の良いトレーニング環境が整っていれば、人材確保の面でもプラスに働くことでしょう。

5. グローバル対応

前述の通り、CareARがあれば物理的な距離はほとんど問題になりません。フルリモートで高品質なサービスが提供できるので、市場を海外に広げられます。また、すでに海外へ進出している場合でも、現行のサービス業務の質と効率のアップを期待できます。

上の画像は、ディールラボが独自に計算してランキング化した「プリンター・複合機メーカーの世界市場シェアと業界ランキング(2021年)」の結果です。日本企業の割合がとても高いことがわかります。つまり、日本製のコピー機は海外でも需要が高いと言えるのではないでしょうか。

必然的に海外顧客へのサポート提供にも高いニーズがあります。保守業務においてリモートで高品質なサービスを提供できるとすれば、同業界での日本製の人気をより強固なものにできます。

保守業務へのCareAR導入事例

最後に、CareARの導入が大きな利益をもたらした事例としてVisioneers社を紹介します。Visioneers社は、ドキュメントスキャナーのリモートサポートを提供する会社で、Xerox社と提携しています。

課題:ハードウェアの問題に遠隔で対応しようとすると、顧客サイドの情報があまりに少なく、視覚的に問題を把握できていませんでした。そのため、顧客サイドのダウンタイムが長引いてしまい、技術者の派遣やスキャナー交換の必要も頻発し、結果的にコストが増大していました。

CareAR導入後:CareARを導入した結果、リモートでリアルタイムのサポートができるようになり、顧客サイドの問題に関して実際にARで「診る」ことができています

2021年の9月にCareAR Assistを導入して以来、同社では数千ドルのコスト節約を果たし、331%のROIを達成しています。修理やトラブル対応のために技術者を派遣することも減り、問題はフルリモートで解決、スキャナーの交換率を劇的に減少、顧客満足度の向上に成功しました。

詳しくはVisioneers社の事例からご覧ください。

最後に 

Visioneers社が実現したのと同様に、CareARは業務の効率化、コスト削減、顧客満足度の向上、若手人材の育成、高いROIの達成のように、非常に多方面にわたるメリットを企業にもたらします。CareARについて気になった方は、ぜひお気軽に弊社までご相談ください。

上部へスクロール