遠隔臨場にARサービス管理ツール「CareAR」を導入しよう 

現在、建設業界は大規模な拡大を見せていますが、一方ですぐには解決できないさまざまな問題を抱えています。その上、DX化やIoT化へ対応が急激に進んでいる状況です。業界として手を付けたいこと、手を付けなければいけないことは山積しています。

この記事では、「遠隔臨場」にフォーカスして、建設業界が直面している数々の問題にどのようにアプローチでき、どのような効果を期待できるのかを解説します。最後には、遠隔臨場のための具体的なソリューションを紹介するので、ぜひ参考になさってください。 

建設業界の現状と課題 

前述の通り、近年の「IoT化」「ICT化」「DX化」の流れは、建設業界においても例外ではありません。現在、建設現場でのICT化の推進は国家レベルで行われており、国土交通省は「i-Construction」、内閣府は「PRISM」を掲げています。

ところで、なぜこの記事で「遠隔臨場」に注目するのでしょうか。国レベルでの大きな動きを一つの背景として、国土交通省が建設現場での「遠隔臨場」を2022年より本格化的に実施し始めたからです。 

※令和4年3月に公開された「建設現場における遠隔臨場に関する実施要領

【建設業界が抱える課題4つ】 

遠隔臨場のメリットや具体的な遠隔臨場システムについて紹介する前に、まずは建設業界の抱える課題について改めて明確にしていきましょう。 

建設業界の「2024年問題」 

いたる業界に「2024年問題」が迫っていますが、建設業界も例にもれません。建設業界での「2024年問題」とは、主に「働き方改革関連法」が適用開始される2024年4月までに、建設業界が解決しなければならない労働環境に関する問題を指します。 

2024年には時間外労働時間に罰則付きで上限が設けられるので、臨場を含めたさまざまな作業において、これまで通り安全性を確保しつつも、さらに効率を上げることが必須となります。 

同時に、中小企業でも割増賃金率が25%から50%へと引き上がるので、各業務の効率化が重要といえど、企業全体としてのコストカットにも積極的に取り組まないと、企業の長期的な存続すら脅かされる事態です。 

従業員の高齢化と人材不足 

上のグラフは、ジャパンホームシールド株式会社による「建設業における2024年問題と働き方の意識調査」の結果です。約97%の人が、多少なりとも人手不足と高齢化を実感していることがわかります。 

また、国土交通省の「最近の建設業を巡る状況について【報告】」によれば、2020年時点で建設業就業者は55歳以上が約36%を占めています

感覚的にも数字的にもすでに高齢化が進んでいる中、現在のベテラン層の多くは数年後に離職してしまうので、業界としての人手不足はさらに深刻化するはずです。 

日本全体として労働人口が減少しているという事実はありますが、建設業界における人材不足の一原因には、「3K(きつい・汚い・危険)」に代表される建設業へのイメージの悪さもあります。国土交通省は従来の「3K」に対抗する新3K(給与・休暇・希望)を提示しており、国家レベルで建設業界の労働環境見直しに取り組む流れがあることは明白です。 

技術継承問題 

技術継承問題に関しても多くの業界で問題視されていますが、そもそも継承するべき若手がいない「若手不足」の現実は無視できません。

その上、パンデミックにより現場作業員の数の制限や時差出勤、リモート作業などが実施され、数少ない若手へ直接指導したり技術継承したりする機会が減少しました。いわば空白の期間が存在しています。

現在のベテラン層が退職するであろうタイミングを考えると、次世代人材へより効率よく、よりスピーディーに技術をいま継承していく必要があります。 

建設業の需要拡大 

国土交通省の「建設経済モデルによる建設投資の見通し ( 2023 年 4 月 )」によると、2022年度の建設投資66兆6,900億に対し、2023年度は68兆4,300億(前年度比2.6%)の見通しです。

人材不足や高齢化が深刻化するのに対し、建設業の需要は右肩上がりに拡大しており、業界全体としてリソースが追いつかない事態が予想されます。 

遠隔臨場のメリット5つ

いずれの問題も深刻であり、一括アプローチや即時解決が難しいものばかりです。しかし、全ての問題が押し寄せるとされる2024年はもう目の前に迫っています。ですから、各問題への対処・解決にはスピードが求められます。そこで有効な一つの策が「遠隔臨場」です。 

遠隔臨場とは: 国土交通省から出されている「建設現場における遠隔臨場に関する実施要領」によれば、「遠隔臨場とは動画撮影用のカメラ(ウェアラブルカメラ等)によって取得した映像及び音声を利用し、遠隔地から Web 会議システム等を介して「段階確認」、「材料確認」と「立会」を行うこと」と定義されています。発注者側の監督職員等が、現場にいなくても遠い場所から臨場を行うことをさします。 

【遠隔臨場実施のメリット】 

「遠隔臨場」が本当に建設業界の抱える問題へのアプローチとして有効かどうか、遠隔臨場実施に伴う5つのメリットを解説します。 

コストの削減 

遠隔臨場を実施すると、現場への移動時間や費用が削減できます。加えて、現場へ向かう人員を最低限に抑えられることによる人件費の削減も可能となります。また、移動時間カットにより、柔軟な日程調整のもとで臨場を行っていけるのも大きな強みです。 

人材育成、技能継承に役立つ 

臨場が遠隔であればこそ、現場にはいない(または行けない)熟練技術者から直接アドバイスをもらえる機会が作れます。ベテラン層が高齢化していることにより、従来の臨場で直接技術を伝達することは難しいかもしれません。場合によっては、「臨場に行くのはいつも同じメンバー」という事態になり得ます。

しかし、ベテラン層は少なからず各個人でのノウハウや技術、知識を蓄積しているものです。若手がより多くのベテラン層と一緒に働くことができれば、その分多様なナレッジを若手に共有していけます。 

また、遠隔臨場の場合、現場と監督側の情報ギャップを埋めるためにコミュニケーションが活発に行われます。現場からの情報伝達・共有を積極的に若手に任せるなら、情報伝達の質やスピードは徐々に向上していくことでしょう。正確かつ素早く状況をインプット・アウトプットさせることは、若手の育成にも直結します。 

従業員の安全性確保 

遠隔であることの一番の強みとも言えるかもしれませんが、従業員が危険な現場に行かなくても済むというメリットがあります。遠隔臨場の場合、通常の臨場にありがちなスケジュールの詰め込みをしなくても良いので、現場の異常予兆や天候の変化といったリアルタイムな変化に柔軟に対応することが可能です。現場にいる従業員の安全面でのリスクを最小限に抑え、災害の防止にも繋げていけます。 

業務の省人化 

これまでの臨場では、(受注者側の)必要なメンバー全員で現場へ行くようにしていたかもしれません。遠隔臨場であればその必要はありません。「誰一人現場へ行かない」というのは現実的ではないかもしれませんが、現場へ行く人員を最小限に抑えることは可能です。臨場における省人化が叶うので、現状の人手不足への対処・解消も期待できます。 

初期費用が抑えられる 

「遠隔臨場」となると、どうしても初期費用がかかることは否めません。とくに遠隔臨場システムやウェアラブル端末の準備に際しては、かかるコストが遠隔臨場実施におけるデメリットとすら言えるかもしれません。 

しかし、国土交通省よると、遠隔臨場で使用するウェアラブルカメラはあくまでも総称であり、使用製品が限定されているわけではありません。つまり、一般的なモバイル端末(iPhoneやAndroid)の使用も認められているということです。したがって、すでにウェアラブルカメラとして使える物を持っているのであれば、遠隔臨場に関連する端末のすべてを新しくしたり、専用の物にしたりする必要はないでしょう。 

いま会社が所有しているパソコンやタブレット端末、スマートフォンなどを活用できれば、遠隔臨場の導入に関するコストを最低限に抑えることが可能です。しかし、そのためには自社が使いたい端末に柔軟に対応できる遠隔臨場システムを選ぶことが重要となります。 

遠隔臨場システムとしてのCareAR 

前述した5つのメリットを最大限にするポイントは、遠隔臨場システムの選定です。ここからは遠隔臨場システムとしてのARサービス管理ツール「CareAR」を紹介します。 

機能1 CareAR Assist

CareAR Assistは、AR技術によってビジュアルサポートをリアルタイムで遠隔提供できる機能です。遠隔臨場においては、とくに「材料確認」の面で役立ちます。3Dオブジェクト化された各材料にARで注釈をつけることができるので、ベテラン従業員がその場にいるかのようにして材料確認を行っていけます。 

本来臨場にはなくてもよいAR機能がつくと、かえって遠隔臨場を難しくしたり、トラブル発生のリスクになったりすると思われますか。CareAR Assistの機能は、現場にいる受注者側の従業員と連携しながら、スマートフォン、タブレット、スマートグラスといったネットワークカメラやウェアラブルカメラを使って、確認するべき材料を写すだけで使用できます。 

機能への参加者数は柔軟に設定できるので、さまざまな場所から複数人で遠隔臨場を行うことが可能です。もちろん撮影や録画の機能もあり、画像や動画の内容を自動的にサービスチケットやナレッジベースに取り込んで、作業証明として保存・活用することができます。 

機能2 CareAR Instruct

CareAR Instructは、いわゆるマニュアルをAR/2D/3D/動画のかたちで画面上に映し出せる機能です。 

ARガイダンスをステップごとに事前作成し、使用時にはARで「見える化」して表示させます。そのため、経験の浅い若手人材でも、現場の機器や機材を安心して触ったり動作確認をしたりすること可能です。 

ステップバイステップの視覚的なガイダンスが提供されるので、遠隔臨場中にトラブルが発生したとしても、CareAR Instructの機能を活用しながら柔軟に対応していけます。 

セルフガイド式のビデオ案内が提供されることによって、ベテラン従業員からのナレッジ伝達・継承や、人材育成にも直接的に行えるので、建設業界の一問題である「技術継承問題」にもアプローチできます。 

CareAR Instructユーザーである従業員が、作業や動作が正確に行えているかどうかは特許取得済みの「CareAR Computer Vision AI」 によって検知するので、「必要な作業を抜かしてしまった」のようなヒューマンエラーを防ぐことも可能です。ベテラン従業員にとって、若手人材を安心して現場へ送り出す一要素となります。 

CareAR Instructでは検索機能で関連性の高いコンテンツを呼び出すこともできるので、業務効率化と生産性向上のどちらも見込めるのはポイントです。 

機能3 CareAR Experience Builder

ARやAIといった最新技術を詰め込んだCareARですが、導入後のセットアップは非常に簡単です。インストラクション表示などのワークフローを、Webベースかつノーコードで構築することが可能です。 

CareAR導入に際にして、「うちにはIT人材がいないからうまく導入できない」といった状況にはなりません。ドラッグアンドドロップができれば、誰でもワークフローを作れるので、専門知識をもつ人材を採用・選任する必要はないのです。人材不足、若手不足に対処しながらでも使用できます。 

最後に 

「遠隔臨場に関係する機器の導入にはある程度のコストがかかるので、せっかくなら遠隔臨場以外の場面でも活用できるシステムを選びたい」「遠隔臨場システム導入の初期費用は莫大なのではないか」との悩みがおありですか。

この記事では、「遠隔臨場システム」としてCareARを紹介しましたが、CareARはメンテナンス・保守業務、お客さまの自己解決率向上ツールとしてもさまざまな業界でご利用いただけるソリューションです。 

費用感に関しては、お客様の使い方に応じていくつかの提供パターンをご用意しています。ご希望の使い方やご予算に合わせてご提案しますので、ぜひお気軽に弊社までご相談ください。 

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