ARをビジネス活用すべき5つの理由

「AR元年」「VR元年」「スマートグラス元年」など、各技術の「元年」と呼ばれる年から数年が経ちました。そこで大きな拡大を見せているのが、「XR」技術です。中でも「AR技術」は私たちの日常生活に普及してきています。AR機能付きのカメラによって、自分の好きなキャラクターや物を好きな場所に配置して楽しめる体験は記憶に新しいはずです。

とはいえ、「まだARはゲームやエンタメのものだろう」と思っている方も少なくないかもしれません。この記事では、ARを取り巻く現状に注目しつつ、ARをなるべく早くビジネス活用すべき5つの理由を解説します。導入と運用が簡単なARソリューションも紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。

AR技術を取り巻く現在

まずは、AR技術を取り巻く現在について考えてみましょう。みなさまもご存じの通り、今や国内外を問わず、さまざまな大手企業がAR技術の開発や拡大に乗り出しています。なぜそこまでAR市場が注目されているのでしょうか。

AR技術はすでに世界的な巨大市場となっており、将来的な拡大についても予想されているからです。「Building Momentum with an AR-Enabled Digital Transformation」によれば、ARに関する市場は今年138億ドル(2023年7月時点:約1兆9107億円)に達し、2026年には509億ドル(2023年7月時点:約7兆0474億円)に増加すると予想されています。たった3年で7倍以上になる見込みをもつ市場ということです。

別のデータとして、正林国際特許商標事務所が作成した「VR/ARの市場規模予測」のグラフを見ると、同市場は2028年には4000億ドル(2023年7月時点:約55兆円)に達すると見込まれています。年率にして実に平均40%を超える成長率です。

また、まさに最近話題にもなりましたが、Apple社が「Vision Pro」を発表し、XR業界へ本格参入してきたことで、今後はより技術が発展・浸透していくとの見解もあります。

世界的な市場や動きは先に述べたとおりですが、日本でもARを含むXRに対する動きは強まっています。例えば、デジタル庁と総務省の共同で実施する「自治体DX推進計画」の中には、XR(VR・AR・MR)が含まれており、「テレワークの推進」の項目には「遠隔コミュニケーション-スマートグラスやVRを活用した遠隔支援」が盛り込まれています

加えて、日本国内の企業がXRを含むDXに取り組む場合、国としていくつかの助成金・補助金も整備されているので、日本国内においてもXRへの積極的な取り組みが本格的になっていることは明白です。

具体的なデバイスの観点から見ても、XRへの取り組みは加速していくことがわかるでしょう。スマートグラスとされる「グラス型デバイス」はもちろん、グラス型デバイスをよりウェアラブルにした「コンタクトレンズ型ARデバイス」の登場、実用にも注目が集まっています。

日本国内だけで考えても、行政をあげての動きや技術的な進歩が加速しています。このような流れを背景に、ARを活用しようとする業界も拡大しているのです。医療、建設、製造、美容、アパレル、物流、観光、教育などARを活用していない業界はもはやないと言っても過言ではありません。

技術革新次第ではARの用途はさらに広がるとされており、スマートフォンやタブレットなどのディスプレイが主にARになったり、AR搭載のスマートグラスなどによって「歩きスマホ」の改善が期待されたりと、ARに向けられる注目と期待は多岐にわたっています。

言うまでもなく、ARの活用範囲は今やゲーム・エンタメ業界、テクニカルな分野に限られてはいません。むしろ、私たちの身近な日常生活にも近づいてきています。これまでは映画やアニメ、ゲーム、漫画や小説の中のものだった技術が、いよいよ目の前に迫ってきていると言えるでしょう。

ARをビジネス活用する5つの理由

ARがゲームやエンタメの枠組みを超えてきたとはいえ、「本当にビジネスに役立つのだろうか。話題性があるから騒がれているだけではないか」「あくまでもトレンドであって、一過性のものだろう」このように思われる方もいるかもしれません。ここからは、AR技術をビジネスの分野で「今」活用するべき理由を5つ解説します。

1. 研修・育成・技術継承が効率的に行える

近年、どの業界においても研修制度や社員の育成は重要視されており、就活生にとっては企業選びの一基準にもなっています。それにも関わらず、「ベテラン層からの技術継承がうまくいかない」という問題も立ちはだかっています。

必要な指示やアドバイスを、音声や画像、画面上への書き込みで行い、それを記録、あとから復習できるようなAR環境があれば、リモート研修やOJT(On the Job Training:実務をさせることでトレーニングを行う手法)が行いやすくなります。すると、人材育成のための時間やコストが削減でき、より効率的に研修・育成が行えます。

また、場所にとらわれることなく研修や育成、技術継承を行っていけるのも強みです。会社としてリモートワークを継続的に導入していく上でも効果的なので、いわゆる「トレーナー」と「トレーニー」がそれぞれどこにいるのかといった問題は障害になりづらくなります。

2. 人材不足へアプローチできる

ご存じの通り、人材不足問題についても業界を問わず大きな問題となっています。ARを活用すると、教育、作業補助、業務効率化、安全確保へ一度にアプローチできるため、人材不足が著しい業界や企業においてのAR活用は非常に効果的な策の一つです。

一ヶ月や半年といった短いスパンでの解決がはかれない問題だからこそ、人材不足には「うまく付き合っていく」スタンスが必要となります。

最近では、新たな労働力として外国人労働者も注目されています。外国人労働者が増えたり、海外企業と共同で作業を行ったりする中で必ず問題となるのは言語ですが、ARを活用すると翻訳者・通訳者なしにお互いの母語でコミュニケーションをとることが可能です。

労働者同士でのストレスフリーも叶うので、従業員満足度の維持・向上が期待できます。

3. 自己解決率のさらなる向上が狙える

「自己解決を促すツール」と言えば、やはりFAQが鉄板でしょう。最近ではチャットボットなども積極的に活用されていますが、企業が良かれと思って行っている自己解決率向上のための施策も、残念ながら「見られていない」という結果になることが多々あります。

コールセンタージャパン2023年6月号10ページの記事を見ると、このよう書かれています。

約半数が、「Web・マニュアルの情報を調べずに問い合わせした」と回答。この結果を受け、「Webコンテンツを強化するだけでは、自己解決率の向上は難しい」と判断し…

もちろん、FAQやチャットボットといった従来の「自己解決を促すツール」は引き続き大切です。しかし、お客さまが好きなときに好きな端末で手軽に使えるARサポートがあれば、従来のツールよりもさらにパーソナライズされたサービスを提供することができます

FAQやチャットといった文字ベースのツールだけでは、複雑なサポートまで全てカバーすることは困難です。しかしARによってサポートを「見える化」すれば、お客さまは自分の使い慣れた端末や道具、落ち着ける場所で自己解決に取り組むことが可能です。

カスタマーサポートへ電話したり分厚いマニュアル本を見たりすることなく問題解決がはかれるので、お客さまにとっては最初から最後までエフォートレスな体験ができ、顧客満足度はさらに豊かになるでしょう。「自己解決率向上の施策がうまくいっていない」と感じる企業にとっては、とくに効果的な方法となるはずです。

4. コスト削減

AR技術を備えたソリューションとなると、多くの場合導入費用は決して安くありません。しかし、AR導入によって遠隔支援が可能になったり、顧客の自己解決率向上によるコンタクトセンターの縮小ができたりすると、交通費を含む出張費、人件費などが大幅にカットされ、企業としてのコスト削減が図れるようになります。一言で言うならコスパが良いということです。中長期的に見たときには圧倒的なコスト削減へと繋がります。

5. SDGsへの貢献

すでにARを活用している企業の例を見ると、共通している効果に「プラスチックや紙、布といった資源の削減」を挙げることができます。SDGsへの取り組みとして一番分かりやすい効果です。

このような「対外的に分かりやすい効果と取り組み」があると、企業としてのブランディングにも大いに役立ちます。SDGsへ積極的に取り組んでいることが対外的にはっきりしていると、人材採用において企業のSDGsへの取り組みに理解のある社員を採用できたり、就職希望者の母数を増やすことができたりとプラスに働くからです。

事実として、2022年に実施された帝国データバンクの調べを見ると、SDGsに積極的に取り組んでいる企業のうち66.5%は、SDGsへの取り組みによる効果を実感しています。

ARサービス管理ツール「CareAR」とは

ここまではARをビジネス活用した際のメリットについて解説しました。次は、ビジネス活用に最適なARソリューションの一例として、「CareAR」を紹介します。

機能1 CareAR Assist

CareAR Assistは、ARによるビジュアルサポートをリアルタイムで提供できる機能です。サポート対象となる物体の問題箇所や操作場所、確認場所をARで「見える化」できます。

CareAR Assistはスマートフォン、タブレット、スマートグラスやドローンなどの機器で使用できるので、高所、狭い場所、暗所といった危険が伴う場所での作業にも効果的です。

アプリにもブラウザにも対応している上、機能への参加者数も無制限なので、どこからでも何人でもサポートを展開していけます。

機能2 CareAR Instruct

CareAR Instructは、ARガイダンスをステップごとに事前作成し、マニュアルをAR/2D/3D/動画のかたちで画面上に映し出す機能です。

経験が浅かったり専門知識が少なかったりする若手スタッフや、専門的なノウハウを一切もたないお客さま一人でも理解できるマニュアルを提供できることが強みとなります。目の前にある物体に対するサポート/ガイダンスがステップバイステップで「見える化」されるので、必要な操作を的確に行っていくことができ、若手スタッフやお客さまの自己解決率向上や応急処置的な対応を可能にします。

セルフガイド式のビデオ案内が提供されることによって、ベテランスタッフからのナレッジ伝達・継承や、人材育成にも直接的に行えるので、社会問題にすらなっている「技術継承問題」にもアプローチできます。

ガイダンス通り正確に作業を行えているかどうかは、特許取得済みの「CareAR Computer Vision AI」によって検知するので、「必要な作業を抜かしてしまった」のようなヒューマンエラーを防ぐことも可能です。

CareAR Instructでは検索機能で関連性の高いコンテンツを呼び出すことも可能なので、業務効率化と生産性向上のどちらも期待できます。

機能3 CareAR Experience Builder

ARやAIといった最新技術を詰め込んだCareARですが、導入後のセットアップは非常に簡単です。インストラクション表示などのワークフローを、Webベースかつノーコードで構築することが可能です。

CareAR導入に際して、「うちにはIT人材がいないからうまく導入できない」「導入のためにIT人材を採用または既存スタッフから選任しなければいけない」といった状況にはなりません。ドラッグアンドドロップができれば、誰でもワークフローを作れるので、専門知識をもつ人材を新規採用・選任する必要はないのです。人材不足、若手不足に対処しながらでも使用できます。

最後に、CareARがもつデータ的実績を一挙に紹介します。

CareARは…

派遣業務を50%削減

サービス時間を63%短縮

初回解決率は82%

リモート解決率85%

CSATの増加は40%

約1年間(2022年1月~2022年12月)で594,800kgのGHG排出量を回避

21,000件の派遣を削減

非常に高いROI

→CareARを導入している米国Xerox社では、1年間CareARを1万人のフィールドエンジニアで使用し、約4億円のコストダウンに成功した

さまざまな業界におけるCareAR導入事例はこちらからご覧ください。

最後に 

「ARはトレンドであって一過性の技術」「ARはゲーム・エンタメ業界のもの」「画面のものではなくて現実を見なければいけない」。このようなイメージを持ち続けてAR技術をビジネス活用していかないならば、人材不足や技術継承の問題に効率よく対処していくことは難しいでしょう。

加えて、メタバース、またはApple社が述べる「空間コンピューティング」を巡る市場は、今後さらに拡大していく見込みです。ビジネスの「リアル」が移り変わり、物理的な場所のみならず次元にとらわれることなく、常に良質なサービスを提供していけるようにするには、企業がなるべく早くAR活用の準備を整えておくことは必須と言えます。「気づいたらビジネスのリアルが目の前になかった…」なんて自体にならないよう、先手を打っていきたいものです。

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