ServiceNowとARで現場作業を効率化させよう

ServiceNowとは、社員や顧客といった人と業務システム、さらに業務プロセスも一元管理できるクラウドプラットフォームです。「NowPlatform」という製品を基本にして、社内運用向け、カスタマーサービス向けのワークフローや自動化システムをSaaSとして提供しています。

現在、ServiceNowは国内のカスタマーサポートや、設備保全の分野で活用され始めています。

今回は、ServiceNowとARを連携させて、カスタマーサポートや現場作業の効率化をどのように行えるのか解説します。技術者を現場に派遣するコスト削減にも役立つ情報を紹介するのでご覧ください。

ServiceNow導入企業がAR遠隔サポートに取り組むべき理由

ServiceNowを導入している企業がARを使ってカスタマーサポートや設備保全の業務を効率化させるべきなのはなぜでしょうか。AR遠隔サポートに取り組むべき3つの理由を説明します。

ARならダウンタイムを減らせる

AR遠隔サポートを活用するなら、トラブルが発生している機器のダウンタイムを減らせます。結果として顧客満足度も向上していきます。

米国Verizon社では、10,000 人以上の技術者が現場作業を行っています。これまではフィールド技術者が顧客の家を訪ねて、故障したルーターや通信機器を修理していました。しかしパンデミック以降は、AR遠隔サポートとAIを活用したサービスを提供しています。

顧客は自らのスマートフォンにモバイルアプリをインストールし、技術者に連絡するだけでサービスを利用できます。自宅や社内にある機器を映し出し、技術者がリアルタイムで修理方法を案内します。

矢印やテキストを使って技術者は説明できるので、顧客はすぐに機器のトラブルを解消できます。米国Verizon社によると、AR遠隔サポートによって顧客の90%の問題を解決できるようになりました。

数字が表わすARツールの成長

米国ではAR遠隔サポートが現場作業にもたらすメリットが高く評価されるようになってきました。

そのためGartner社の調査によると、2019年には現場業務でモバイルARやその他の高度なデジタルツールを含む割合が10%未満だったものの、2025年には50%以上まで高まると予測されています。

AR機能などを搭載した最新の現場作業向け管理ソフトウェアの年間市場は、2020年から2027年の間に2倍以上になると、2020年のリサーチ・アンド・マーケッツで予測されています。

すでに始まっているARによる業務効率化

ARによる業務効率化はパンデミックによって加速しましたが、実はグローバル企業においては以前から始まっていました。

たとえば、デロイト社のレポートによると、ポルシェ社は2019年から北米の各ディーラーに診断用のARシステムを導入し、サービス解決時間を最大40%短縮できたと報告されています。

これからはカスタマーサポートや設備保全の現場作業においてAR遠隔サポートの導入がより一層進んでいくと予測できます。

ServiceNowとCareARの統合でできること

ゼロックス社が提供するAR遠隔サポートプラットフォーム「CareAR」はServiceNowと簡単に統合できます。

CareARとServiceNowを連携することで何ができるのでしょうか。簡単に言うと、ServiceNowによるカスタマーサービスのワークフローを、ARとAI機能で拡張することができます。

CareARはServiceNow CSM、FSM、ITSMとスムーズに連携することが可能です。

たとえば、お客さまがチャットボットで問い合わせた際、オペレーターは自分の対応画面にあるボタンをクリックするだけでCareARを起動できます。そしてARを使いながら操作手順を説明していけます。

ServiceNowとCareARを統合させる6つのメリット

ServiceNowとCareARを統合させるメリットは6つあります。

  • 問題解決時間の短縮
  • 初回解決率の向上
  • 技術者の派遣コストを削減
  • ナレッジの有効活用
  • カスタマーエクスペリエンスの向上
  • 二酸化炭素排出量の削減

それぞれのメリットについて解説していきます。

問題解決時間の短縮

CareARとServiceNowならオペレーターはお客さまと映像を通してコミュニケーションをとれます

オペレーターはお客さまと映像を通してコミュニケーションをとれます。トラブルが発生している個所や状況を正確に把握することが可能です。結果として、適切な解決方法を早く見つけ、お客さまに提案していけるのです。

初回解決率の向上

CareARとServiceNowではARアノテーションや3Dオブジェクトを使った視覚的な説明ができる

ARアノテーションや3Dオブジェクトを使った視覚的な説明をすることで、お客さまは問題解決の手順を一つ一つ正確に実行していけます。説明した手順で解決せずにお客さまが再度問い合わせしてくることはありません。初回解決率が向上していきます。

技術者の派遣コストを削減

CareARとServiceNowでは口頭だけの説明ではなく、ビデオ通話を使ったコミュニケーション、ARを使った説明ができ

口頭だけの説明ではなく、ビデオ通話を使ったコミュニケーション、ARを使った説明ができるので、遠隔サポートによる解決率が向上します。技術者をお客さまの家や会社に派遣するコストを削減していけます。

ナレッジの有効活用

ServiceNowとCareARでは遠隔地にいるベテラン技術者が現場にいるスタッフをサポートできます

カスタマーサポートや設備保全では、現場に派遣されたスタッフのスキルが十分ではないため、問題を解決できないことがあります。CareARでは遠隔地にいるベテラン技術者が現場にいるスタッフをサポートできます。ベテランから新人へのスキルやナレッジの継承をスムーズに行っていけます。

カスタマーエクスペリエンスの向上

CareARとServiceNowでカスタマーエクスペリエンスを向上できる

CareARとServiceNowを連携させることで問題解決時間が短縮され、初回解決率も向上していきますからカスタマーエクスペリエンスの質が上がっていきます。顧客満足度や顧客ロイヤルティの向上も実現できるでしょう。

二酸化炭素排出量の削減

現場へ技術者を派遣する回数が減るということは、二酸化炭素排出量が削減されるということです。環境に配慮している企業、SDGsに取り組んでいる企業にオススメのメリットです。

遠隔サポートの流れ

ServiceNowとCareARを連携させると、どのような遠隔サポートを行っていけるのでしょうか。3つのステップで紹介します。

リモートによる診断&指示

オペレーターはCareARをServiceNowから直接起動できます

オペレーターはCareARをServiceNowから直接起動できます。

現場スタッフやお客さまは、CareARでサポートを受けるために特別な機器を用意する必要はありません。スマートフォン、タブレット、スマートグラスなどでCareARによるサポートを受けられます。

コンピュータービジョンで簡単解決

ServiceNowとCareARでは、コンピュータービジョンの技術が採用されています

CareARでは、コンピュータービジョンの技術が採用されています。そのため現場にいるスタッフやお客さまがカメラ端末を動かしてしまっても、オペレーターが表示させたARの注釈が対象物からずれてしまうことがありません。何回も確認せずに正確な手順で作業が行っていけます。

ナレッジの蓄積

ServiceNowとCareARでは毎回のサポート履歴を簡単に管理し、蓄積していけます

CareARでは毎回のサポート履歴を簡単に管理し、蓄積していけます。サポート中のスナップショットや映像をキャプチャして登録できます。ナレッジを社内ですぐに共有していけるのです。将来のサポート業務やトレーニングに活かしやすいツールです。

ServiceNowとCareARのユースケース

ServiceNowとCareARの連携は、主に3つの分野で活用されています。

設備保全―ServiceNowとCareARを連携させることで、拠点にいる技術者と現場にいるスタッフが同じものを見て問題解決に取り組めます。

カスタマーサービス―オペレーターとお客さまが映像を通して情報を共有することで、カスタマーエクスペリエンスを高めていけます。

サーバー保守―エンタープライズのITトラブルを映像、AR、AIの力で迅速に解決します。      

CareARに対するServiceNowの評価

ServiceNowはCareARによるサービスの拡張に満足しています。ServiceNowプロダクトマネジメント担当副社長のマイケル・ラムゼイ氏は、CareARとの連携について次のようにコメントしています。

パンデミック以降、サービスチームは難しい状況で問題解決に取り組まなければなりません。そのような中でも、従業員の安全確保、より一層の業務効率化、運用コストの削減、顧客満足度の向上を目指しています。ServiceNowはCareARとともに、サービスチームがリモートで問題を解決できるようサポートし、作業を効率的に、安全に行えるようにしています。

マイケル・ラムゼイ ServiceNowプロダクトマネジメント担当副社長

ServiceNowとCareARが切り開くメタバースにおけるサービス

ServiceNowのユーザー企業が今注目しているのは、CareARと米国Infosys(インフォシス)社との提携です。Infosys社はメタバースのサービス・エクスペリエンス・トランスフォーメーションが得意な会社です。

現在、Infosys社はInfosys ESM Cafeサービス、CareAR、ServiceNowの統合サービスを開発しています。メタバースにおけるカスタマーサービスが、お客さまに利用しやすい形で提供できることが期待されています。

参考情報:https://carear.com/blog/servicenow-knowledge-22-highlights/

CareARは導入・運用が簡単

ARの運用をノーコードで行える

ServiceNowとCareARを連携させても、「ARやAI機能の運用が難しそう」「ARをきちんと運用できるかな」と不安になるかもしれません。CareARは、運用をノーコードで行えるので安心です。

インストラクション表示などのワークフローを、ウェブベースかつノーコードで手軽に構築していけます。ドラッグアンドドロップで簡単に3Dインストラクションワークフローを作成可能です。必要な各ステップもグラフィカルなツリー表示で案内してくれるので直感的に運用していけます。

最後に 

ServiceNowとCareARを連携させるなら、カスタマーサポートや設備保全の業務を効率化させられます。CareARを活用することで問題解決時間を短縮させ、初回解決率を向上させていけます。お客さまのサポート体験を優れたものにできます。同時にスタッフの派遣回数を減らせるので、コスト削減や二酸化炭素の排出も抑えられます。

ServiceNowとCareARを連携させることで「現場作業を効率化させたい」「技術者を派遣するコストを下げたい」といった問題を解消していけます。

CareARを活用することによって、ServiceNowのポテンシャルを最大限に引き出していきましょう。ServiceNowによるカスタマーエクスペリエンスや、従業員エクスペリエンスをこれまで以上に向上させることができるのです。

▶参考情報:ServiceNowの資料 / CareARの資料

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