本ウェビナーでは、CXMコンサルティング株式会社・代表取締役社長の秋山紀郎氏をお招きし、「人材不足にコミュニケーションとARの力で立ち向かう」というテーマで対談させていただきました。
弊社セールスの丹羽が、カスタマーサポート業界が直面する人材不足の現状と、ARを活用したコミュニケーションで問題に対応する方法について尋ねていきます。
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カスタマーサポートにおける「人材不足」の現状
−−人材不足という問題は、いろいろな企業にどんな影響を与えているでしょうか。
秋山紀郎氏:働き手の不足ということはもちろんあります。しかし雇用のミスマッチということも背景にはあって、人材不足という問題が起きてしまっているかなと思います。
そして、デジタル化の波で店舗の統廃合が起きています。銀行なんかもそうですし、さまざまな業界で顧客接点が減っています。人材不足にはデジタル化の波も大きく影響しているように思います。
一方で、大規模なシステムの不具合とか、何か交通機関がおかしくなったとか、何か事故が起きてしまったとか、というニュースをわりと耳にする機会が増えているんじゃないでしょうか。
統計的なデータとか、専門家がレポートを出している訳ではないんですが、私は技術陣とか現場のスキル不足がじわじわと顕在化しているんじゃないかなとも感じています。
世の中高度化して、機械が複雑になっているということが絶対にあります。なので、我々人間の知見が下がっているという単純なことでは決してないはずです。当然、ITの力で知見もこれまで以上に増えていますけれども、それにも勝る形で物事が複雑に絡み合っているんじゃないかな、と思っております。
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人材不足を緩和するビデオコールセンター
秋山紀郎氏:人材難の中で、コンタクトセンターの要員確保にはいろいろなやり方があります。私の方で整理したいくつかの施策があります。(スライドを見ながら)必要要員数を抑えるという策で、一番右下にある「ビデオコールセンター」があります。
これがあんまり利用されていないんです。実は私もですね、10年くらい前からビデオCC(ビデオコールセンターの略)が来るぞ、来るぞって言っていながら、全然来なくてですね、ほとんど嘘つきになりかけていたんですよね(笑)。けれども、コロナ禍を経て利用が増えつつあります。
ビデオCCは、「ビジュアルコールセンター」というふうに呼ぶ場合もあります。この図を見ますと、2022年から2023年にかけてとても伸びています。コールセンターで動画を利用することが増えつつあるということですね。
「ビデオCCなんてどこで使われてるの?」とよく言われるんですけれども、カスタマーサポートと、販売促進ですね、ここで使われています。なので、BtoBだけでなくBtoCでも使いますということですね。
ビデオコールセンターが普及してこなかった理由
−−いくつか質問させてください。なぜこれまでビデオコールセンターは普及していなかったんでしょうか。
秋山紀郎氏:まず、ビデオCCというと必ず誤解をするのが、オペレーターとか、お客さまの顔を出すことと同義語だと思っちゃうんですよね。
ただ、必要がなければ顔を出す必要はないんだということを前提に、少しでも多くの方が顔を出す義務を取り払っていただくことが大切だと思います。
一方で、LINE通話、オンラインミーティング、Youtube、TikTokなどで顔を出すということが割と当たり前になってきています。顔を出すということに慣れてきた、ということが背景にもあって、ビデオCCが増えてきていると考えています。
ビデオコールセンターのメリット
−−ビデオCCの導入効果、一番のメリットというものはどんなところでしょうか。
秋山紀郎氏:ビデオで実際にモノを見せられるということです。
機器の不具合、水が出ちゃってもうどうにもならないで急いでいるとか、エラーが出てうるさい時って慌てますよね。その時にエラー音であれば、電話口で聞けるかもしれません。
でも、「どういう警告が出ているか」「どういうエラーメッセージか」など、エラーメッセージをちゃんと英数字も含めて読み上げるって意外と難しいものなんです。そういうことも含めて、百聞は一見にしかずということで、モノを見せると時間短縮に確実になるんです。これが一番の導入効果ですね。
時間短縮になると、当然ですが通話時間が短くなります。すると、顧客満足度が上がります。顧客満足度が上がると、従業員の満足度も上がるんです。感謝されれば従業員満足度は上がっていくんですよ。
丹羽さんはどう思いますか?
−−やはり時間短縮が、今日のテーマである人材不足に直結してくるかなと感じております。秋山さんが言及してくださった「生産性の向上」という点に加え、「機器のダウンタイムが減らせる」という点でも、「百聞は一見にしかず」ですね。
ビデオを活用することで、1次ヒアリングの必要がなくなります。現状を見て、トラブルの内容がわかって、すぐにトラブルに対応できるという速さは、やはりかなり魅力的な導入効果ですよね。
秋山紀郎氏:技術者を派遣したり、部品を送ったりする代わりに、実はちょっとした操作でその場で解決することってあると思うんですよね。
そうすると技術者を派遣するコストやお客さまの負担が減ります。部品を送るというコストもなくなります。その場で解決できるケースが何件かに一件、10件に一件、100件に1件でもあれば、コスト削減になりますよね。
現場の技術力は低下しているのか
−−次の点ですが、本当に現場の技術力は低下しているんでしょうか。これをビデオCCやARといった技術で補完できるものなのでしょうか。
秋山紀郎氏:これ冒頭で申し上げた通り、いろんなレポートを見る限り、その傾向は強いなと思います。しかし会社は自らそれを宣言はしないんですよね。
CareARというARのツールがあります。このツールを使ったトラブルシュートのシーンが、教育に使えるっていう声をお客さまから聞くことがあります。
そうすると、やっぱり教育って大変大切なんだなと感じるんです。つまり裏返すと、現場の技術力っていうのが、こういう教育による強化を求めているんだなと思いますね。
「技術力を支援する」というニーズが出てきていること自体が、ある意味で相対的に技術力が低下してしまっている証なのかなと感じます。
技術力アップに役立つAR
−−ARはトラブルシュートにも使えるし、さらにはトレーニングにも使えると言うことですね。ARについてちょっと1枚見ていただきたいスライドがございます。
AR、つまり拡張現実という技術はVRとは少し違っています。VRというのは、どちらかというと現実空間を遮断して仮想空間を体感する技術です。一方、ARは、現実の光景にデジタルの情報を重ね合わせる技術です。
デジタルな注釈やCGを貼ることができるので、「ここです」「そこです」というようなことを的確に指示できます。
秋山紀郎氏:(スライドを見ながら)手に持っているのはiPadですかね。これはiPhoneでもAndroidでもいいんですか。これをお客さまとかサービスマンとか、現地にいる人がものをかざすと、オペレータが遠隔からARの矢印を付けてあげられるんですよね。
−−はい、その通りです。
秋山紀郎氏:なので現場にいる人が見ているものを、リモートにいる人も同じもの、同じ画面を見ながら指示ができるメリットがあるということですね。
赤い矢印を遠隔にいる専門家が「ここですよ」「ここを見てください」とか、「ここのボタンを押してください」って指示ができるってことですよね。
−−そうなんです。こうしたツールを使うことで、言語だけに頼らない指示ができます。そのため、最近増えている外国人労働者のサポートにも活用していけます。
もちろん、出張費が削減されるので、省エネルギー、省コストという点でもメリットがあります。
ビデオコールセンターやARで生産性は本当にアップするの?
ビデオCCやARを使っても、現場に行った方が良いケースもあるかと思います。ビデオCCやARで本当に生産性は上がるのでしょうか。
秋山紀郎氏:どちらかというと、CareARを販売されている丹羽さんにお尋ねしたいくらいですね(笑)。
時々お客さまから、「私たちはリアルで機器を直すので、ビデオなんかじゃ役に立たないです」って言われることがあります。その結果、何も新しいことにトライしないんですよ。
でもいくつかツールをご紹介して、お客さまが、ちょっと試しに使ってみる。そうすると、それこそ1割でもさっきもご紹介したように、部分的にでもその場で問題解決がするんですね。もしくは、トラブルシュートのための説明が短くなったっていうシーンで結構あるんです。
ビデオだけで全部問題を解決しようなんて誰も言ってないんですよ。当然、現地に行く必要があるものは人を送らなきゃいけない。しかし必ずなわけではない。
ビデオの説明で問題解決が存在するっていうケースが何件かに1件あるだけでも全然良いと思います。それが生産性向上につながるんじゃないかなと私は思うんです。
丹羽さんどうですか?
−−全くその通りですね。カスタマーサポートの現場では、機器の調子が悪いということで、コールセンターに連絡が入り、実際に出張で行ってみると、ただ電源が抜けていただけとか、そういう簡単に解決できるトラブルというのが生じます。
そのために多額の出張費や人件費をかけることよりも、ビデオで解決できる分野があるのであれば、かなりの導入効果があると言えるのではないでしょうか。
秋山紀郎氏:問題の特定とか、出張が本当に必要かどうかの切り分けなんかにも活用できますよね。部品を送らなくていいというだけでお客さまの負担が減りますしね。
ARの活用事例【ANAエンジンテクニクス】
−−実際にARの技術を活用している事例、一つご紹介したいと思います。
ANAエンジンテクニクス様(以下、ANA ETC様)はCareARを活用しておられます。実際に整備をしている現場と事務所、またそれに関係する設備メーカーなどの間でコミュニケーションをとるのに、このARのツールを活用しています。
CareARを活用することで、整備の現場と、社内との移動時間がまず削減されています。さらに、アノテーション機能で矢印やコメントを画面に貼り付けることによって、意思伝達をスムーズに行うことができています。
ANA ETC様は、大きな騒音の中で作業をされていますので、実際の音声が届きにくいという問題が生じています。しかし、ARを用いることでスムーズに問題を解決することができているようです。
さらに、海外の拠点との通信にも活用していただいています。海外ですので、実際に出張するとなるとかなりのコストがかかります。時間もかかります。時差の問題もあって、コミュニケーションをとる時間というのは限られているわけです。
しかしCareARで海外メーカーとリアルタイムで情報共有をすることによって、機器のダウンタイムを短縮ができることを評価していただいています。
ZoomやTeamsだけで十分じゃない?
−−CareARは、ZOOMやTeamsなどの会議ツールと何が違うのかという点についても少し説明させてください。
CareARでは、ARで認識した空間に矢印を表示させることができます。カメラを使っているデバイスを動かしても矢印がブレることはありません。画角から機器が外れてしまっても、戻ってきた時に矢印などのアノテーションは固定されたままです。それで、リモートで意思を伝えるのに、非常に使い勝手が良いという良い評判を得ております。
また、CareARはCRMと連携ができます。CRM連携によって最大限にトラブルシュートのナレッジを活用していけます。
通常の業務を行いながら、修理を実際にした記録を動画だったり、スクリーンショットだったりというものを自動的に保存していけるのです。企業のDX化、オートメーション化のための素材を収集していけるというのが大きなメリットとなっております。
フィールドワーク専用設計
ZOOMやTeamsといった会議ツールとの違いは他にもあります。時おり「ZOOMやTeamsで十分ではないか」という声をお聞きします。
会議用のツールと比べて、このCareARはフィールドワーク専用に作られています。 例えばCareARでは、セッションを開始すると、すぐに端末の外カメラで現場を映し出してくれます。
会議ツールですと、実際に会議を開始した時に、まず自分の顔が表示されて、それをアウトカメラに切り替えなければいけません。サポートする側はそのアウトカメラに切り替えられた画像を拡大して、スクリーンショットを撮って、そこに何かを書き込んで、それを画面共有して指示を伝えるという、そうしたいくつかのステップを経なければならないのです。
ところが、CareARですと、実際にビデオライブ、ビデオチャット上の映像に注釈を書き込むことができますので、非常にスムーズに問題解決することができるのです。この点もANA ETC様から非常に便利であると評価していただいています。
秋山紀郎氏:むしろ自分の顔を映せないですよね。これってセキュリティーという意味で強みがありますね。
やっぱり餅は餅屋ということで、フィールドワーク専用のツールということの強みがありますよね。
−−やはりフィールドワーク専用に設計されているツールというところが強みだど感じます。
秋山紀郎氏:CareARは、とても簡単に使えますよね。だからあまりハードルを難しくせずに、とりあえず使ってみたらって思います。
まず1ヶ月、2ヶ月くらいで。そうすると、その会社とか、その業務に合った形でメリットも見えてきますから。仮にメリットがなければやめればいいだけので。これが、クラウドのいいとこですよね。
業務の効率化ができる「AR遠隔サポートツール」の提供をしています。
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人材不足の今後
−−今後、秋山様が想定される人材不足という点について、またこのソリューションについて、これからどうなっていくとお感じになられていますか。
秋山紀郎氏:少子高齢化ですから、人材不足、とくにスキルミスマッチはどうしてもついて回ります。技術は高まるばかりですし、いろんなものが連携して動くようになっています。
デジタル化の波と同時に、その狭間にあって困るというシーンは増えていきます。どれだけ自己解決を推進したとしても、その狭間にトラブルが起きるということはたくさんあると思います。
それを一見アナログだけれども、実はそこにデジタルが詰まったCareARのようなツールがセットで補完しあっていくのだと感じます。つまり「デジタル化による自己解決を進める波」と、「人が本当に支援する」ということが両輪で進んでいく時代だなというふうに思いますね。
−−貴重なご意見ありがとうございます。さて、本日はCXMコンサルティングの秋山様をお呼びして、企業が抱える日本全体の社会問題とも言えるこの人材不足というテーマでお話をお聞きすることができました。秋山さん、どうもありがとうございました。